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さてさてまた久しぶりになってしまった

超お久しぶりのSS更新でございます~

予告通りの今日は魔界○○でございます。

久しぶりに書きあがったからキャラが変わってたりしてもキニシナイ。
というかアリスってこんなキャラだっけ?w
あれ?w
まぁ良いやキニシナイ。

とりあえず長らくお待たせしたわりにどうしようもない内容ですが、どぞ~














『絆』


二つの心を繋ぐものそれは本当に些細なもの。
細く今にも千切れてしまいそうな絆という繋がり。
それはとても儚い。
ただそれはとても強いものだった。
糸は断ち切れる。
強き心もいつかは切れる。
どんなに強くとも終わりは来る。
だが想いは永遠であった。
絆は強きものだった。
だから断ち切れぬ。
だから消えぬ。
強きもの。
だからだろう……彼もまた絆を断ち切れなかったのは。
















「何だ……これは」

朝早くのことであった。
いつものように起きた○○は目を覚ますためにも良く始めに外に出る。
だがそこで見た光景は驚くべきものであった。
紅いのだ。
空が、世界が何もかもが。
それは紅い霧であった。
このマヨイガまでも届く世の中を紅く染める紅い霧だ。

「こんなことが起こるのか?いやこれは流石に異常か」

幻想郷に来てから確かに○○はそれほど経っているわけではない。
だがそれでもこの状態が異常であることくらいは分かった。
そうこれは幻想郷の異変なのだ。
○○がいなかった頃、レミリア・スカーレットが起こした紅い霧の事件。
それにとても似通った異変だ。

「これが多分紫様には分かっていたんだな……これが噂に聞く異変って奴なのか」

経験はしたことがなかったが、○○も一応幻想郷にたまに起こる異変については知っていた。
紅魔館が起こした今と同じような異変や、白玉桜の西行寺幽々子の起こした来ない春の異変である。
他にもあったらしいが、今の○○には特に関係はなかった。
問題は現在昔起こったような異変が起こっているということだ。

「しかし何でまたこんなことに……」

「異変を起こすものにそんな崇高な目的なんてないさ」

○○の独り言に答える人物、それはいつの間にか後ろに立っていた藍だった。
しかし○○は藍のいきなりの登場に驚いた様子もなく、言葉を続けた。

「前回は何故異変が?」

「詳しいことは私にも分からんが……吸血鬼の苦手な日光を遮るためと聞いた」

「完全なるわがままですね」

藍の説明に心底呆れたようにため息を吐く○○。
それに合わせるように藍もまたため息を吐く。
幻想郷には珍しい冷静な考えを持つもの同士のため息だ。

「……では紫様が居ないのは博麗の……いや霊夢の所に?」

「あぁそうだろう。全く……いつもあれくらい動いてくれると助かるんだが」

「紫様に聞かれたらまたお仕置きされますよ?」

軽口を叩きながらもどこか○○は不安を感じていた。
いや不安というのは正しくないかもしれない。
嫌な予感。
それもとんでもない嫌な予感であった。
まるでこれから起こることが分かるかのような予感だ。

「……ねぇ藍さん。異変解決に乗り出すのは霊夢だけなんですか?」

「ん?いや……いつも魔理沙もいるな。それにたまに……」

質問の意図が分からず疑問顔のまま話していた藍であったが途中で何かに気付いた。
何故○○がわざわざこんなことを聞いてきたのか。
彼の興味に当たることではないはずであるのに。
だが異変解決に関係することのある人物、それを思い浮かべ急に藍が表情を変えた。

「○○、何をするつもりな……○○!?」

一瞬藍の思考が止まったのを敏感に感じ取ったのか、○○はもう藍の話しに耳を傾けず歩き始めていた。
その歩行は決して早いわけでも、急いでいるように見えるわけでもない。
だが藍は○○に追いつけはしなかった。
いや違う。
追えもしなかったのだ。
○○の後姿を見ているだけで、藍は追う気を完全に消されたのだ。

「○○……」

○○の背中から伝わってくる想い。
それはとてもとても冷たい想い。
感情全てを凍らせるような絶対なる冷たさ。
本来の○○が持つものであった。
それを感じ取り藍は追う足を止めてしまっていた。
それが不躾なことが分かってしまったから。
頭の良い藍だからこそ……今○○が何をしようとしてるのか分かってしまったからであった。
だから藍は○○の背中に優しい笑みと共に小さく呟いた。
聞こえるか聞こえないかではない。
言うべきことだから言った。

「いってらっしゃいだ……きちんと帰って来いよ」



















○○にも分かっていた。
この異変も彼女が異変解決に渋々ながら乗り出すことも。
そして自分がこうやって動くことも。
全てはあの八雲紫の思惑通りであるということを。
それでもやらなくてはいけなかった。
自分が行く意味などないのかもしれない。
動くことによって更に大変なことになるかもしれない。
普段の冷静な○○であるなら絶対にしないことであった。
こと彼女に関わることでなかったのなら絶対に……。
















行かなくちゃいけない。
何故だかは分からないが……この異変に何かしないといけない気がした。
本来なら彼女、アリス・マーガトロイドにとってこんな紅い霧の異変などそれ程関係あることではなかった。
実際前回の紅い霧の異変の時はアリスは動くこともなく自室で人形の作製をしていた。
他の異変に比べればこの紅い霧の異変は特にアリスの生活を阻害しないのだ。
だが今回は前回とどこか違っていた。
アリス自身にも分からない何故か行かなければならないという気持ち。
行かねば一生後悔するという予感。
決して気持ちの良いものではない感覚であった。

「しかし前と違って妙に濃厚な霧ね……」

魔法の森から出たアリスはとりあえず徒歩で紅魔館へと向かっていた。
何故か魔法の森の上空はこの霧が濃く、方向感覚を失うのだ。
まだ歩いている方が目的地に向かう上ではマシであった。

「全く……あいつがいて何でこんなことが起こってるの」

紅魔館の執事でありアリスの数少ない友人である△△の顔を思い浮かべながら歩くアリス。
その足取りは決して軽くなく、どこか重かった。

(やっぱり外に出てもダメか……)

この前やっと勢いのついた決意。
決意をした当初はマヨイガを探したり、○○が働いてそうな場所を探していたのだが……結局会えずに時間が経ってしまった。
やはり決意というものも時間があれば薄れてしまうものであり、今のアリスはまた迷い始めてしまっていた。
その気を晴らすためにもこの異変に首を突っ込んだが、また不安になってきてしまっていた。
いつもの異変と違うのだ。
このもう一度起こった紅い霧の異変は。

「本当に誰もいないのかしら……」

そう言って辺りを見渡してみてもアリスの周りには他のものの気配を感じ取れなかった。
全くいないと言うわけではないが、霧のせいかほとんど気配がないのだ。
これが今回の異変の特徴である。
他者との繋がりを感じない。
どこかそう……自分は一人であることを思い知らされるような霧だ。

「はぁ……こんな時は魔理沙何かでもいた方がマシね」

本気で疲れたようにアリスはため息を吐いて木に寄りかかった。
霧雨魔理沙。
アリスにとって友人のような友人じゃないような……そんな不思議な関係の相手。
だが異変の際には一緒に行動することも少なくはない相手ではあった。
今回はその魔理沙にすら会えていないわけだが。
孤独の霧。
この霧の力は必要以上にアリスの精神を揺さぶっていた。

「ってあれ?」

精神を揺さぶられていたせいか、単純にぼんやりとしていたのかアリスは今自分がどこにいるか分からなくなってしまっていた。
魔法の森の地形なら良く分かっていると思っていたが、方向感覚の狂いは大きいようだ。
魔理沙の家の方角も分からなければ、帰り道も分からなかった。

「っ……いや帰ることなら出来るはず。だって来た道を戻れば!?」

振り向けば今まで来た道がある、そのはずであった。
しかし木を背にしていたアリスが向けた先は記憶にきちんと該当しない森林であった。

「霧のせいで方向感覚が……」

どの方向を見てもいつもの森とは違う森に見えてしまう。
紅い霧によって完全に方向感覚が崩れてしまっているのだ。
そのせいで元々薄暗い魔法の森は今、完全に紅い迷宮と化していた。
それに気付かなかったこと自体アリスのミスであった。

「これじゃ動けない……か」

これ以上の移動は危険と判断したアリスはそのまま地面に座り込んだ。
少し疲れたのだ。
誰もいなく、音もせず。
独りでいることにそれほどアリスは強くないのだ。

「っ!?」

そんな時、どこからか少し葉の擦るような音が聞こえた。
その方向にアリスは鋭い目線を飛ばすが、やはり誰もいない。

「何なの……よ」

不安からか、少しアリスの体が震えていた。
何が来ようと、誰が相手であろうとアリスは恐怖に怯えたりはしない。
それほど弱い少女ではない……はずであった。
だが彼女はそれほどに強い少女ではない。
誰が来ても大丈夫であろう。
それは相手がいるから。
彼女が弱いのは誰もいないということ。

「誰かいるなら……出て来なさいよ!」

叫びかけても誰も答えない。
普段うるさくて一人になりたいくらい喧しい存在である幻想郷の民。
だが今は違った。
今のアリスは一人ではない。
独りなのだ。
孤独は怖い。
誰も答えてくれず、誰も相手をしてくれず、そこには何もない。
その恐怖にいつの間にかアリスは怯えていた。

「出て……来てよ……」

幼き頃彼女は知らない世界を知った。
自分の住む魔界とは違う、いつも騒がしい世界の存在を。
幼き彼女はそれに憧れてしまった。
そして魔界を飛び出した……そこに住む未知の恐怖を心の奥にしまい込み。
そう騒がしき世界の中で独りになれば、それは本当の孤独なのだ。
いつでも誰かが傍にいた少女にとって孤独は真の恐怖であった。
今の状況はまさにそれであった。
誰もいず、誰も答えず、アリスは今独りであった。
その不安がアリスを苦しめ、顔を伏せさせ、ついにはその瞳から一筋の涙を流す程になっていた。

「馬鹿……○○の馬鹿」

自分に独りの辛さを教えた存在の名前をいつの間にかアリスは呟いていた。
幻想郷から帰ってきたあの日、○○の拒絶から始めてアリスは孤独の辛さを本当の意味で知った。
いつも一緒にいた存在がいなくなるという苦しさ。
それを思い知らされたアリスは久しぶりにあの日母の元で泣いた。
泣ける相手がいた。
だからあの時は真の孤独ではなかった。
今は……いない。
誰もいない。
孤独の少女は、その苦しみに押しつぶされそうになっていた。
誰か助けてと、心の底から叫びたかった。
いや心の奥では叫んでいた。
だが声に出すと本当に押しつぶされてしまいそうでアリスは言えなかった。
しかし心の奥の叫びは……彼には聞こえていた。

「……やれやれ。やっと来てみれば一言目に馬鹿とは」

「えっ!?」

突如響いたどこか呆れたような声、その声にアリスは顔を勢い良く上げた。
そこには確かにいた。
若干苦笑気味に笑い、しかし少しだけ安心したような表情で立っていた。
心の叫びを聞いてくれる相手が。
いつでもアリスの隣にいてくれた相手が。
孤独を教えてくれた存在が。
いつでも……孤独から救ってくれた存在が。
彼女の最愛の相手……○○がそこにいた。

「お迎えにあがりましたよ。全く……お迎えが必要とはまだまだ子供ですね」

「○……○っ!」

手を差し出していた○○に対して、アリスは不意に○○に抱きついていた。
恥も体裁も関係ない。
ただの怯えた幼い子供のようにアリスは○○に縋り付いたのだ。
誰よりも安心させてくれていた存在であった○○に。
そして優しき兄は今回も何も言わずに抱きしめてくれた。
分かっているというように、大切に……。



















「やっと落ち着きましたか?全くこの程度のことで……」

「わっ悪かったわね!」

それからしばらくしてやっと落ち着いたのか、アリスは○○から離れ少し顔を赤くしていた。
先ほどまでは不安から逃れたいばかりにあんな態度を取ってしまったが、今頃になって恥ずかしくなってきたのだ。

「はぁ~……あんなのを誰かに見られてたら……ぅぅ」

自分の失態を食いながら一人唸りだすアリス。
その様子を見ながらも、○○は笑いを堪えるように口元を抑えていた。
それに気付いたアリスは○○に対し文句を言おうとしたが、不意に何かに気付いた。

「そういえばどうやってここに……私なんて今でもどっちがどっちだか分からないのに」

「ん?あぁそんなことですか……」

アリスが辺りを見渡しながら聞いた言葉に対し、○○は何てことはないと言いたげな表情をした。
だがその表情はすぐにどこか優しげな表情へと変わっていった。
その表情はアリスの良く知る○○の表情だったのだが、○○の言葉が少し気に障ったアリスには気がつかない。

「そんなことってっ!」

「私とアリス様はいつでも繋がっているからですよ。誰にも断ち切ることのない絆でね」

「またそうやっ……へっ?」

また馬鹿にされると思っていたアリスは途中まで言って硬直した。
逆に○○はまるで当然のことを言ったとばかりに、あっけらかんとした表情をしていた。
そのまましばらく硬直していたアリスであったが、徐々に○○の言葉の意味が理解してきたらしく、顔が見る見る内に赤くなっていく。

「なっ何言ってるのよ○○!?今頃そんなこと言ったって……」

「今頃も何も真実ですから。私の『モノとモノの繋がりを操る程度の能力』がそれを示しているのですから」

○○の言葉の通り、○○はここまで○○の持つ『モノとモノの繋がりを操る程度の能力』で来ていた。
○○とアリスの間にある絆という繋がりを辿ることによりこの方向感覚を狂わせる霧の効果を受けなかったのだ。方向感覚を失わせるこの霧も繋がりが見える○○の前には無力なのだ。
いやむしろこの霧を仕掛けた犯人はそもそも○○に対して霧が効かないことを知っていたのかもしれない。

「あっ……霧が」

「……やっぱりこういうことですか」

それを示すかのように霧が晴れ始めてきていた。
徐々に魔法の森も元の形を取り戻していく。
その様子をアリスは驚き、○○は嫌そうな顔で眺めていた。

「じゃ俺はそろそろ帰らせてもらいますよ」

「えっ……○○……」

霧が晴れたのを確認し、もう安心と判断したのか、○○は口調を戻し、アリスに背を向け帰ろうとしていた。
それを見たアリスは一度口を開きかけ、また閉じてしまった。
勇気が出ない。
もう一押し必要な勇気が出ないのだ。
しかしここで声をかけられなければ何も出来ない。
その考えが過ぎった時、自然にアリスは一歩を踏み出していた。

「待って○○!」

「…………」

アリスの声で立ち去ろうとしていた○○の足が止まる。
だが振り向いてはくれない。
ただ背中を向けたまま黙っているだけだ。

「○○……私はもう逃げない。だからもう一度だけお願い。私と向き合って」

アリスにとって言いたかった、伝えたかった言葉であった。
片意地を張りずっと言えなかった、もう一度だけきちんと向き合って話すこと。
その言葉を遂にアリスは○○に伝えることが出来た。

「……もう少しだけ……待っていてください」

アリスの真剣な言葉を聞いた○○はどこかお茶を濁すような言い方をしながら立ち去っていった。
アリスはやっと吹っ切れた。
しかし○○にはまだアリスと正面から向き合うだけの勇気が無いのだ。
だからここではまだ向き合えない。
だが近い未来……必ず向き合う時が来るであろう。
そのことが分かっている二人の表情は……小さく微笑んでいた。
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